音楽教育の広場

Music Forceは、次世代の子どもたちを中心とした音楽教育について皆様のご意見をいただきながら、篠崎理事長が掲げる「守破離」の精神に基づいた、本来あるべき教育を追求し、社会に対しても訴えかけていきたいと考えています。

この広場は、皆さんからのご意見をいただく場であり、篠崎理事長をはじめとしたパートナーなどの考え方や活動状況を知ることができるコミュニケーションの場だ考えています。

「お話寺子屋for Parents」                        (2025年7月24日 in熊本)

《冒頭のマロ氏のお話》

日本とヨーロッパでは、子ともの教育は違うと感じている。

日本で音楽をするには音楽大学に行かねばならないという風潮があるが、ヨーロッパでは音楽院があり、年齢に関係なく学べる、つまり音楽は万人に対して平等なのだが、日本にはその意識がない。

また、日本では誰かと比較して判断されることが多く、コンクールなどで人と評価して自分の立ち位置が決められていく。

本来音楽は人生を豊かにし、共に人生を歩むためにあり、従って一生音楽をやめない子どもを育てる必要がある。

しかし、実際行われていることは、先生も親もコンクールや大学に入れることに一生けん命で、結局大半の子どもはどこかで音楽を断念させられる。

そういうことを無くし、音楽に一生向き合って生活できる場を創りたい。それが寺子屋。

日本では、一つの答えを導き出すことを教えているが、物事を発想することや憧れること、好奇心を持つことが全てのエネルギーだと思う。

ヨーロッパは基本口頭試験で、答えのないことを先生としゃべらないといけない。

音楽の試験でも自分が作り上げた音楽を提示(演奏)して評価される、つまり自己表現が評価される。

誰かの演奏に憧れて真似するのはありだが、単に再現するだけのコピーでは子供の発想は止まる。

考えることを教える場所として寺子屋を展開していく。

小中学校の先生向け公開レッスン                       (2025年7月24日 in熊本)

《ヴァイオリンの公開レッスン》
【生徒】 井口結唯(いでぐちゆい)さん。
パガニーニの難局を素晴らしいテクニックで弾かれる中学生でした。

【マロさんの指導】
〇素晴らしく上手に弾けているが、今まで練習したことをパーフェクトに弾いているだけではなく、自分から発信しないといけない。

〇楽譜に書かれている決められたものは守る必要があるが、そこからはみ出てくる世界をの自由に泳いで、それを表現して欲しい。
空は「青」と言うが、人それぞれに感じ表現する空の色は異なる。違う者を発想することが大事。                音楽には決まった答えはない 決まった答えを音楽は求めない、違う答えを出すこと

〇自分でイメージすること。音楽は想像力を与えてくれる。弾き時に自分なりに情景を想い浮かべ、それを表現することが大事。

〇作曲したパガニーニはイタリア人だけど、イタリアってどんなところなんでろう?                          上手くなるためには練習ではなく、そういう好奇心が大事。
そして、例えば明るいイタリアの情景の中で、甘いものでも食べてるイメージを想像して弾いてみる。                音を弾くのではなく、景色を弾くといい。

小中学校の先生向けのお話                       (2025年7月24日 in熊本)

マロさんが、ヴァイオリンの公開レッスン後に、先生方に向けて次のようにお話しされました。

レッスンする時は、悪いところを見つけるのは簡単であり、そこを直すのではなく、可能性を広げることが大事だと思う。

学校は様々なことを平等に進めていかなければならないだろうが、本当の平等は子どもたちそれぞれの個性を発揮させ、回りに発信させていくことだと思う。

オーケストラはまさにそういうことで、楽器が個性を持って、同時に音を出して成り立ってる。

個性が違う者が集まりながらも、一つのものが同時に進んでいくことができれば面白いと思う。

オーケストラでは個人の特性を目いっぱいだすことが大事で、メロディーを奏でている楽器がころころ変わるが、それ以外の人は必ず耳を傾けている、だから同時に動ける。

楽器それぞれの大事なポジションや役割が決まっているが、それぞれのパートは自分達の特性を表に出す。それが溶け合って素晴らしい響きを生み出していく。

だから、いろんな子どものそれぞれの個性をどんどん出させて、お互いに認めあうことを指導して欲しい。

マニュアルに無いことをマニュアル外のこととして物事を考えられれば面白いことが起きるはず。マニュアルの中に収めようとするとパンバンになってしまう。 

親は練習しろとか勉強しろとか一切言わず、好奇心を持つことを教えられた。

そして、練習すれば世界中に友達ができるという目標を与えてくれた。

目先のことを達成することを言うのではなく、その先を見せる、示すことが大事だと思う。

欠点は直らないのだから、それよりできることをやった方が楽しいし、そうしていくことにより欠点がくるまれていき、やがてそれは長所となる。

ヨーロッパに行ってそれが大事だということがよく判った。

向こうは加点法だからいいところを提示することによって成績が上がっていく。

そして、自分の意見を言うことを求められ、何と何がそぐわないかを説明してくれて、その後は徹底してディスカッションが行われる。

正しいことを答えることではなく、違う世界があることを教えてもらった。

「横断歩道みんなで渡れば怖くない」はダメ、で終わるのではなく、そこからディスカッションして何故だめなのか、考える力を与えることが大事で、そうすると子どもたちは自立できる。

「守破離」という千利休の素晴らしい言葉があるが、この世界を子供たちが実現できれば新しい未来を創りだしてくれると思う。

音楽教育に関するお話寺子屋       (2025年6月23日 in 東京)

マロ氏のお話
第1回「お話寺子屋」にて)

音楽は「再生芸術」であり、自分ならではの発想で新しいものを生み出す姿勢が大切です。CDなどの録音は完成形を固定化してしまい、そこに頼りすぎると「自分で探す旅」を省略しかねません。

今の時代は便利になりすぎ、答えが簡単に手に入ります。しかし、子どもたちが模倣だけで終わってしまうことに危機感を覚えます。

日本の教育は自由な発想を恐れがちです。これからは「答えのないこと」を学ぶ姿勢が必要です。そうでなければ、人は社会の「部品」になってしまうからです。AIにできない表現を生み出せる人間を育てなければなりません。

便利なデジタルツールも良い面はありますが、失われているものも多い。手間をかけて学ぶことの大切さを忘れてはいけません。

もし音源の模倣だけで済ませるなら、クラシック音楽を「再生芸術」として続ける意味は薄れてしまいます。

私はヨーロッパで音楽の「生きる力」を学びました。極限状況の中でも音楽が人に力を与える。それこそが音楽の「Force(力)」です。

こうした理念に共感する人が増えていけば、きっと世界は変わる。その希望のもとに、まずは「移動寺子屋」として活動を始め、多くの人が「心の大切さ」に気づける場を作りたいと思います。 Music Forceは、「音楽に何かを感じられる人間」を育てることを目指しています。

6/23 お話寺子屋の参加者のご意見
(事前質問への回答など一部抜粋)

♬音楽とは最上級のコミュニケーションツールだと思っています。音楽を奏でることが出来ることで、多世代、外国のお友達とも、言葉を介さなくても意思の疎通が出来る。そんな経験を体験することで、子どもの世界も音楽を通じて広がると考えています。(リトミック、ファミリーコンサート主催者)

♬音楽を聴いたり演奏するのは同じ空間で同じ時間の流れで共感し、つながり合うものという音楽ならではの強みを社会や人々と共有していく。
音楽は目に見えない形がないものだからこそ人の心にもつながるし、時間を飛び越えて昔の人々ともつながることができる世代間(社会)の断絶等をつなげる効果もある人間や社会をより深く自然な形で理解するツールという見方も出来る(産業技術研究所の方)

♬大前提として、親御さん自身が「単なるお稽古事やコンクールのため」という捉え方をしないこと。
楽器をやっていることは、夢と成長を育むための、色々ある中の1つのジャンルに過ぎないと捉えること。素敵な、楽しいコンサートに親子で行き、親子共々楽しんでくること。(ヴァイオリン教師)

♬部活動が民営化され、子ども達が部活動で音楽をできる場が減ろうとしている。子ども達が活動できる受け皿を作り、応援する大人(事務・講師含む)、子どもが協力して夢に向かって活動することで沢山の人と人との関わり方も学ばせる環境を作る。大人も子どもも仲間を増やすことで、幅広く認識を広める。(ヴァイオリン教室主催)

♬音楽以外の分野の学びと音楽を関連づけていくことも必要になるのではないか。アメリカで始まった理数教育の潮流であるSTEM(Science, Technology,Engineering, Mathmatics)に、Artを加えたSTEAM教育は、今日では文部科学省もその重要性を強調している(科学技術振興財団の方)

♬作曲家や音楽家の歩みから歴史を学び、音楽理論から数学を学び、楽器の素材から化学を、発音メカニズムから物理を学び、表情記号から語学を学び、アンサンブルから社会学や経営学を学ぶことが出来る。音楽をその瞬間の音としてだけでなく、文化の集積として様々な背景の集合体として現在の音楽が成り立っているという仕組み自体を社会に向けて啓蒙していく必要があると考えます。(音楽事業関係者)
 
♬音楽というのは「時間の芸術」であり、瞬間瞬間の「時」を音として現している。そして瞬間瞬間に消えていく。そのいっときに自分を賭けていく。
それが音楽の素晴らしさであり、いまこの一瞬にしか自分は存在していないという人間の生き様を現し続けているものだ。という感覚を持てたら、音楽を発信する側も、それを受け止める聴衆もかけがえのない体験ができると考えています。(会社社長)

♬音楽を学ぶ意義を社会通念にできる仕掛けを考える必要があると思います。そのため、学校の音楽科教育と本事業における音楽教育が、その意義を共有して、私たちがいかに生きるべきか、という視点に立って、音楽を学ぶことで、どんな非認知能力が育っているかも保護者と共有できるとよいと考えます。(教育委員会の方)

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